ご質問
雪原の奥に旗が小さく写っています。風景写真に人工物が入ってしまった場合レタッチをして消さなければいけないでしょうか?
回答
風景写真に写りこんだ人工物は、レタッチで消すか消さないでそのままにするか、悩ましい存在ですね。カメラのアングルで避けようとしても、遠景だとカメラ位置を多少変えてもどうしようもありません。また撮る時は気が付かずに、家に帰ってパソコンで開くと「しまった!」と気が付くこともあります。
さて人工物は消してよいか消さないべきか。
これは写真観の領域になりますが、「意図にそぐわない人工物は消してよい」というが、私の考え方です。
風景写真でよくあるケースとして
・電柱
・高圧線の鉄塔と電線
・交通整理の三角コーン
・工事用のブルーシート
が邪魔になりますよね。
こうした、「本来の風景になかった人間が造ったもの」は自然本来の姿を撮る、という目的で考えると消してもよいと言えます。
また星空の撮影では、飛行機の軌跡が問題になりますが、これも自然本来の姿ではないので消してもよいでしょう。(結構大変ですが・・・)
では、ご質問の写真で人工物を消したものと比較してみましょう。
レタッチ前後の比較
レタッチ前は画面の中央付近に小さな旗が立っています。サイズは小さいのですが、画面中央という一番目につくところに配置されているので思ったより気になりますね。どうしても目線が中央部の旗に引っ張られてしまいます。
レタッチで旗を消すと、見る側が落ち着いて風景全体を楽しめることがわかりますね。
今回は「朝日に照らされた雪原」を撮りたい。というイメージがあったので、イメージにそぐわない人工物は消しても大丈夫です。
一方で「風景に根差した人々の営み」を撮りたい。というイメージであれば、人工物はあえて残した方がいいかもしれません。
大事なことは「人工物は消すべき」と決めつけるのではなく、どんな写真を撮りたいか?というイメージから逆算して、消す消さないを判断することです。
もちろん「レタッチは邪道」というお考えを否定するつもりはありません。
便利なデジタル技術を駆使するもよしご自身のポリシーを大事にするもよし
写真は自由です!